#author("2026-03-08T17:51:58+09:00","default:admin","admin") #author("2026-03-08T18:10:38+09:00","default:admin","admin") *短編集① とある街のある公園。 そこにはたくさんの子供達が自分達のグループを作って遊んでいます。 鬼ごっこしたり、おままごとしたり、とグループによって様々。 そんな中、一人だけブランコに乗ってるカービィがいました。真っ黒な体に白い目を持つその子の名前はΣ(シグマ)。 Σは喋れないので、仲間に入れてほしくても伝わりません。必死に手振り身振りでお願いしても、子供達は首を傾げるばかり。それどころか何人かは気味悪がって逃げてしまいました。 寂しくなってきて、Σが泣きそうになったその時でした。 「ねぇ、どうしたの?」 誰かに話しかけられ、Σは慌てて頭を上げて振り向きます。 そこにいたのはピンマイクをつけた白い体色の男の子。 「こんにちは。僕はフル、君の名前は?」 優しく微笑むフルに名前を尋ねられ、Σはブランコから降りると近くにあった木の枝を取って、地面に「Σ」と自分の名前を書きます。 「これが君の名前?」 こくんとΣは頷きます。だけどフルはどこか困った顔をしてました。 「えーと、これ何て読むの……?」 どうやら「Σ」が読めないようです。Σは慌てて読み仮名を書こうと木の枝を地面につけた時でした。 二人の後ろから声が聞こえてきたのは。 「それはシグマって読むんだよ」 その声を聞いて二人が振り向くと、そこには不思議なカービィが立っていました。 色とりどりのベルトが沢山ついた帽子を被っていて、白い体色をしています。だけど左目の周りが円型に黒色になっています。 少なくともこの辺では見かけないカービィです。 Σもフルも初めて会ったカービィに少し戸惑います。 フルは戸惑いながらもΣに確かめます。 「シグマ? えと、君の名前はシグマって言うの?」 Σは嬉しそうに頷きます。フルはにっこり笑います。 嬉しそうな二人の子供を見て、知らないカービィは立ち去ろうとします。 「それじゃ、自分は失礼するよ」 「あ、ありがとうございました。おじさん!」 フルが慌ててお礼を言った途端、彼はピタッと足を止めました。 「? お、おじさん……?」 「???」 いきなり立ち止まった彼にフルとΣは逆に戸惑います。 立ち止まった彼は錆びたロボットのように、ゆっくりぎこちなく振り向きます。 「誰が、おじさんだって……? 自分、まだ若いんだけどなぁ?」 顔は笑ってます。が、目は笑ってません。 それを見たフルは慌てて謝ります。 「ご、ごめんなさい!」 Σも頭を下げて謝ります。 二人が謝ったのを見て、おじ……失礼、彼はいきなり笑いだしました。 「あはははは!」 いきなり笑い出した彼にフルとΣはびっくりして、思わずお互いの顔を見合わせます。 彼はクスクスと優しく笑いながら、二人に言います。 「そんなに慌てなくていいよ。大して気にしてないから。でもおじさんって言われる年じゃないのは確かだから今度から気をつけてくれないかな?」 「は、はい……」 フルが申し訳なさそうに答え、Σも頷いて同意します。 彼はそれを見ると、二人の頭を軽く撫でます。 「分かったなら良し。それじゃオルオクお兄さんはそろそろ行くね」 そう言ってオルオクは子供二人に手を振りながら公園から去っていきました。 二人はいなくなったオルオクに軽く手を振りながらも、首(体?)を傾げます。 「な、何だったのかな。さっきの人……」 フルに聞かれてもΣは首を左右に振る事しか出来ません。 不思議なお兄さんオルオクのインパクトは大きく、二人は数十秒間何ともいえない沈黙に支配されました。だけどその沈黙はすぐに破られます。 「あ、シグマ君」 フルがハッと気づいたようにΣに話しかけます。Σは振り向き、「何?」と言いたげに首を傾げます。 フルはニッコリ笑ってこう言いました。 「一緒に遊ぼうか」 Σは笑顔で頷きます。 短編①「公園にて」おしまい。 オマケ♪ 子供二人が遊ぶ光景を見て、公園から出たオルオクは満足げに頷きます。 「うん、仲良きことは美しきかな」 「……何やってんですか?」 「何もしてませんが?」 通りすがりの人に怪しまれた目で見られましたが、オルオクは華麗に返しました。 希望者LELENさん 出演オリカビ お題№57「オルオク」 お題№102「フル」 奇跡№33「Σ」 =============================================================================================== やばい。どうしよう。シッパイした。 EM-05はかなり焦っていた。頭の中でどうしようどうしようと悩むけれど、誰も気づかない。 そりゃそうだ。だって今、EM-05は街の端っこでフリーズして動けなくなったのだから。 メンテナンスサボるんじゃなかったと後悔するけど、この状況をどうにか出来るわけじゃない。 思考回路と視覚は正常どおり動いているものの、他の身体機能は完全にフリーズしている。 人に話しかける事も出来ない為、絶望的な状況だ。残りの希望といえばもしもの時用の緊急起動回路のみ。 ただし一定時間経たないと発動しないので、それまでの間このままだ。 それは嫌だなとEM-05が思ったその時、いきなり自分の目の前に何かが割り込んできた。 「何、一人で固まってるのー?」 話しかけてきたのは、人とは呼びにくいモノクロ色のカービィだった。 大きな輪が体に二つ、足にそれぞれ一つずつあるのはまだ良い。体に0と1の小さな文字による特徴的な文様もまだ良い。 それよりも問題なのは、彼の体が何故かところどころがブレている事だ。EM-05が知っているカービィはブレない。というかブレる事がありえない。 「おーい、無視ー?」 当の本人はそんなのお構いなしにEM-05のホッペをぺちぺちと叩く。 当然フリーズしているEM-05は返す事が出来ない。 動かないEM-05に不思議がりながら、モノクロのカービィはじーっとEM-05を見つめている。そしてふと思い出す。 「アレ? もしかして……EM-05?」 EM-05は知っていたんだと内心驚くが、反応が出来ない。頷く事も話す事も出来ない。 モノクロのカービィは全く反応を返さないEM-05に何か気づいたのか、己の右手を彼の額に当てた。 直後、EM-05の見てる世界が変わった。 街中の目立たない物陰から、0と1の螺旋に囲まれた真っ白な場所に変わった。 いきなり場所が変わり、EM-05は困惑して辺りを見渡す。 「え? ドコ、ココ?」 そこで喋れた事に驚く。それどころか、体も自由に動いている! EM-05は益々困惑した。フリーズ状態だった筈なのに、どうしていきなり動けるようになったのか分からない。 その時だった。 「ごめん。ちょっと君の回路に入らせてもらったんだ」 唐突にモノクロカービィの声が聞こえたのは。 EM-05が声が聞こえてきた方向に振り向くと、そこには先ほどのモノクロカービィが立っていた。 「こんにちは、僕はZeO。プログラムだよ」 プログラムと聞いて、EM-05はハッと思い出した。 己の意思を持って自由に活動する超高度プログラムが大国から送り込まれたというのを戦時中に聞いた事がある。 「ゼオって、タイコクがソウリョクあげてつくったあのゼオ?」 ZeOは頷く。 「うん。そのZeOだよ。それよりもさ、前にメンテナンスした時、何処で見てもらったの?」 「え? えとたしかトナリマチまでいってたから、そのときに……」 「間違いなくそれだね。フリーズしても気づかないのは兵器だからというべきか、それとも唯単に鈍いのか」 呆れたように呟くZeOにEM-05は意味が分からず、パチパチと瞬きしながら体を傾げる。 ZeOはそれを見て、EM-05にこう言った。 「君、ウイルス拾ってる」 数秒の間、沈黙が流れた。 そしてキッチリ十秒後、EM-05はその言葉の意味を飲み込み、絶叫する。 「……えぇーーーー!!!??」 ZeOは目の前で絶叫したEM-05につられてか、思わず声を上げる。 「マジで気づいてなかったの!?」 「うん! ウイルスぐらいでうごけなくなるヘイキはたよりないからって、すごいボウエイプログラムをトウサイしてたからぜんぜんわからなかった」 それでも普通は気づくものじゃないか、とZeOは呆れた。 「……た、多分そのウイルスが原因で動けなくなってるんだと思うから、それをどうにかすればまた動けるよ」 「ほんと!?」 「うん。でもウイルス退治は僕の専門じゃないからなー。アルケーに頼んでみようか」 「アルケー?」 知らない名前の出現にEM-05は首を傾げる。 ZeOは簡単にアルケーについて話す。 「僕の友達。ウイルス退治の専門家。何時もはお家にいるけど、連れ出す事は出来るよ。だからちょっと待ってて」 「え? どうするの?」 「連れて来るの。こう見えて僕、色々と無茶出来るからね」 そう言って無邪気に笑うZeO。EM-05はその言葉の意味が良く分からず、頭にハテナマークを浮かばせるだけだった。 ZeOはそんなEM-05を他所に友達のアルケーを呼びに、回路から出て行った。 ■ □ ■ 数分後、ZeOは一人のカービィを連れてEM-05の回路に戻ってきた。 「こいつのウイルス撃墜したらあたし帰るからね!? ただでさえ、ウイルスが毎日毎日毎日毎日毎日やってきて重労働なんだから! こうしている間にも何時何処から来てるか分かんないんだし!!」 ぷんすか怒っているのは連れてこられたカービィ。真っ赤な体に長くて硬そうな片方が赤、片方が黒の耳が特徴的だ。 話の内容から察するにこの真っ赤なカービィがアルケーのようだ。 怒るアルケーにZeOは何時も通り明るく言う。 「でも全部弱いし、アルケーいなくても普通のソフトでも倒せるウイルスもいるんでしょ?」 「……あたし、あんたみたいに自由奔放なプログラムじゃないんですが? 会社勤務なんですが?」 「待って。デリートシステムついてる耳こっち向けないで」 「うっさい。あんたはプログラムの一部を破損するべきなのよ。そうすればちょっとは懲りる筈」 「え、冗談だよね? 僕、一応陛下直属だし、傷つけたら色々大変だよ?」 「自己修復機能があるのは知ってるし、重要な部分は外すから安心しなさい」 「目がマジになってる!? ごめん! 本気でごめん!!」 「うっさい黙れスーパーマイペースプログラム!」 「ゲッ! ウイルスハンターの目になった!? に、逃げろー!!」 「逃がすかーーー!!」 ドタドタドタと追いかけっこを始めるZeOとアルケー。 EM-05はいきなり起きた喧嘩と追いかけっこに呆然としていたがハッと我を取り戻し、どうしよどうしよと戸惑う。 「ふ、ふたりともケンカはやめてよー……」 小さな声で止めても、ぎゃーぎゃー騒ぎながら追いかけっこする二人には聞こえてない。 アルケーが長い耳でZeOを狙い打ちにしようと飛ばしていく。ZeOは当たらないように頑張って避けている。二人ともここが何処で、何が目的なのか忘れているように見える。 EM-05はすーっと息を吸い込み、勢い良く叫んで吐き出した。 「やめてってばーーー!!」 いきなりの大声にアルケーは思わず立ち止まり、ZeOは止まろうとして大きくこけて転がってしまう。 やっと追いかけっこが終わった二人を見て、EM-05はホッとする。 「や、やっとやめてくれた……」 ホッとしているEM-05を見てアルケーは当初の目的を思い出し、平謝りしながら彼に駆け寄る。 「あー、ごめんごめん。アレ相手だと耳で突き刺さずには入られなくて」 「やめてくれたならベツにいいよ。えと、キミがアルケー?」 「うん。そういう君はEM-05でしょ。ZeOから聞いたよ。ウイルスで動けなくなってるんだって?」 こくりと頷くEM-05。 「ならどこが悪いか解析するからちょっと待ってて。アレのおかげでだいぶ分かりやすくなってるから、すぐ分かると思うから」 アルケーはそう言うと両耳を大きく立てて、目をつぶる。 両耳には読み取れないほどの速さと量の文字と数字が流れていき、口からは聞き取れない速度で解析データを口にしていく。 「ウイルススキャン対象:無人自己判断型人造カービィ兵器EM-05。 ウイルススキャン開始します。 …………A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,M,N,O,P,Q,R,S,T,U,V,W。ここまでウイルスの反応はありません。 X,Y,Zのブロックに定着している模様。スキャンします。 X-01,03,04,05,異常無し。Y-01,02,03,04,異常無し。Z-01,02,04,05,異常無し。 ウイルス:X-02,Y-05,Z-03に定着状態。ゆっくりとだが別ブロックにもウイルスは広がっている模様。 ウイルスタイプ:旧型ワームと98%特徴が一致。メンテナンス時にインターネットを介して進入したと思われます。 ウイルス削除に所用する時間の計測:180秒、分単位にすると3分。 削除中のEM-05へのダメージ:0,000000000001単位。皆無と判断。 以上にてウイルススキャン完了。これよりウイルスバスター機能を展開します」 アルケーが勢い良く目を開くと同時に彼女の耳と体に赤いリングが出現する。 長く突き立った耳が元の状態に戻っていく中、アルケーは握り拳を作って意気込む。 「そんじゃさっさとお掃除して帰りますか!」 「アルケー、ちょっと待って~」 人が意気込み今まさに向かおうとした時、いきなりZeOに呼び止められた。 呼び止められたアルケーはすぐに立ち止まって振り返り、思い切り怒鳴る。 「いきなり止めるな、ZeO! あんたがあたし呼んだんでしょーが!!」 「いや、相手が旧型ワームなら何とかなるかなと思って」 「はぁ?」 ZeOの言ってる意味が分からず、アルケーは呆れ半分疑問半分の声を出す。 「アルケーのウイルス対策ソフトを一時的に僕とEM-05にインストールするの。で、それぞれ分断してウイルス退治! そっちの方が格段に早いし、簡単でしょ?」 「ボクもやるの!?」 「とーぜん!」 様子を黙っていたEM-05は自分の名前が出てきてびっくりするが、ZeOはニッコリ笑顔で言い切った。その笑顔は拒否権無しと言っているように見えた。 一方でアルケーはZeOの提案に口が引きつるのを感じた。 「……あんた、素晴らしいぐらい無茶苦茶な事言ってるの分かってる?」 「うん。でもアルケー、僕がどんなプログラムか知っているでしょ?」 「知ってるけどさ、出来るの? さすがのあんたでも他人の回路内部での一時的プログラム書き換えなんて難しいにも程があるわよ」 「何言ってるの? この世界にはこういう言葉が存在するじゃないか」 渋るアルケーに対し、ZeOは笑う。 そしてこの世界に住まう者ならば誰もが知っている言葉を口にした。 「カービィは全てを無限にする、カービィは全てを切り開く、カービィは全てを在りえさせる」 その言葉を聞き、アルケーは一瞬目を見開くがすぐに閉じてため息をつく。 「要するに心配無いって言いたいわけね」 「そゆこと! んじゃ、やっちゃってOK?」 「勝手にしろ」 これ以上言っても無駄だと悟り、折れたアルケー。 ZeOはそれを聞くとすぐさまEM-05に駆け寄り、彼の手を握る。 「そんじゃ、アンチウイルスソフトをインストールするから良い?」 「え、あ、うん」 これまでの状況に若干ついていけてなかったEM-05だったが、尋ねられてやっと我に戻って頷く。 ZeOはそれを見て、ギュッと力強くEM-05の手を握る。 するとZeOの体の模様である0と1が独りでに動き出し、EM-05へと流れ込んでいく。 だけどもEM-05の体には何の違和感も感じない、自然にそれが入ってくるのが心地よいぐらいだ。まるで子守唄を聞いているように感じる。 ――なんだろう、このカンカク。 何処かで感じた、だけど初めてとしか言いようが無い矛盾した感覚にEM-05が半ば夢心地になって疑問に思ったそんな時。ZeOが手を離した。 一瞬にして心地よい感覚が消え、EM-05は思わずZeOの顔を凝視する。 ZeOは動揺するEM-05を無視して、元気良く声を上げた。 「はい、しゅーりょー! これで君の戦闘能力は君の内部回路でも可能になりましたー!! そんじゃそれぞれ各ブロックに行って虫さん退治に行きましょー!」 「んじゃ、一番でっかいZ-03のウイルス駆除宜しく。あたしはY-05行く途中で、EM-05をX-02まで持ってておくよ」 アルケーはキッパリそう言って、EM-05の手をつかむ。 次に両耳を何も無い空間へと向け、出現させたリングを先端へと集中させる。 すると何処からともなく穴を出現した。 バチバチと電気を纏った真っ黒な穴だ。見ようによってはブラックホールに思える。 EM-05はゴクリと唾を飲み込む。 「これ、ウイルスのいるブロックにチョクセツいけるアナ?」 「大当たり。あたしの得意技の一つでね、ウイルススキャンした後なら何処にあるかすぐに分かるよう開発されてるんだ」 アルケーは得意げに笑う。 凄いとEM-05は素直に思った。コンピューターウイルスが相手とはいえ、あっさりと敵の居場所を見つけ出して自信を持って言えるその姿に。 自分が前にやっていた事といえば、過去の大戦で強制終結を行う時に派手に暴れた事ぐらいだ。それも敵味方関係無くだ。 あの時の無数の感情が入り混じる視線は今でも忘れられない。 過去を思い出し、気落ちするEM-05を見てアルケーは彼に振り向き、強く笑って元気付ける。 「気を落とさない。今、あたし達がやるのはあんたの中にあるウイルス削除! ZeOの事だから、普段通りに戦う事がウイルス削除になるようプログラムにしてると思うし」 「さすがアルケー。最新型は理解するのも早い!」 それに喜ぶのはEM-05ではなく、ZeO。微妙に褒めどころがズレている。 アルケーはすぐさま呆れた顔と冷たい口調で、ZeOを急かす。 「唯単に付き合いの長さ。それよりも早く行け」 「……一応僕の方がかなり年上なんですけど」 「知らん」 「な、何か僕に対しては異常に冷たくない!? あ、もしかしてこれが今流行のツンデレ!?」 直後、無言の耳アッパーがZeOに繰り出された。勢い良く上へと飛んでいくZeO。格闘ゲームでは間違いなく、クリティカルダメージものだ。 上に飛んでいったZeOにEM-05を顔を青ざめる。 「ぜ、ゼオくーん! アルケー、ボウリョクはダメだよ!?」 「あいつはこの程度じゃデリートしないし、このぐらいやっておかんと静かにならん!」 EM-05の訴えにアルケーはキッパリ言いきった。あまりにも堂々としたその態度にEM-05は何も言えなくなる。 アルケーは穴に体を向きなおし、EM-05に言う。 「それよりもあいつが起きる前に行くわよ。あいつの事だからどうせウイルスの場所分かってるだろうから置いていっても絶対問題無いだろうし」 「そ、そうなの?」 「そっ。だから一緒に行く」 アルケーは簡単に返すとEM-05をしっかりつかんだまま、穴の中へと飛び込んでいった。EM-05はいきなり穴の中に飛び込まされ、悲鳴を上げる。 「うわわわわ!? だ、ダイジョウブなの!?」 周りを見渡すと無機質で真っ黒な筒が自分達を包んでいるのが分かる。筒の周辺には金色の文字や数字が連なっている。 まるで不思議の国のアリスになったようだ。 困惑するEM-05を見て、アルケーは見てられなくなってこう言った。 「大丈夫。ってかここ、一応あんたの中なんだから少なくともあんたには異常無いわよ」 「え? ボクにはって、アルケーとゼオは?」 「ZeOがプログラム抑えつけてるからある程度の自由は利くわ。じゃなかったら、兵器の内部に入るなんて命知らずな事やんないわよ」 EM-05の疑問にアルケーはそう答える。だけどEM-05の疑問は消えるどころか益々深まった。 ウイルスとか、自分の体についての疑問ではない。ある意味根本的な部分だ。 EM-05は意を決してアルケーにたずねた。 「……ZeOって何者なの?」 ZeO、あまりにもつかめない言動と能力の高さに疑問を持たずには入られなかった。 アルケーは少し悩んだ表情になるが、ぽつりぽつりと語りだした。 「……ZeOは大国一のコンピューターウイルスであり、対ウイルスワクチンソフトであり、無数のデータを解析ソフトであり、それらを超越したプログラムである存在。言ってしまえば電子世界最強のカービィ。確かあんたが活躍した大戦よりも前から作られたって聞いたわ」 「電子世界最強のカービィ……」 アルケーの言葉を繰り返すEM-05。 噂には聞いていたが、まさかそれ程までの強者だとは思っていなかった。 とんでもない人に助けられたなぁとEM-05と内心呟いていたら、アルケーから話しかけられる。 「おっと、そろそろX-02ブロックに到着するよ。そこで降ろすから後は任せても大丈夫よね?」 「……うん!」 EM-05はしっかり頷いた。アルケーはそれを確認すると、EM-05の手を離した。 直後、EM-05のいた空間が変わる。 金色の文字が彩る真っ黒な筒の中から、色とりどりの大きなタイルがひしめく箱の中に。 箱の中にいるのはEM-05以外には、巨大な紫色のミミズ。間違いなくこいつがウイルスだ。 ぬちゃりと言う気色の悪い擬音と共に巨大ミミズのウイルスはEM-05へと近づいてくる。 EM-05は怯える事無く、ウイルスを見据えてこう言った。 「おいで。――タオシテアゲル」 EM-05が纏う空気が――変わった。 同時にウイルスが勢い良くEM-05目掛けて体当たりを仕掛ける。EM-05は片手を前に出して、体当たりを食い止める。 ウイルスがどんなに力を込めようとも、EM-05はぴくりとも動かない。 無駄に足掻く虫を見て、EM-05は先ほどとは打って変わった笑みを浮かべた。 「ういるすデモむしハむしカ。ワカリヤスイコウドウぱたーんダ!!」 そう言ってEM-05はウイルスを受け止めている手の形を筒状へと変形させ、至近距離から「ボム」を発動する。 ウイルスは逃げる間も無くボムを受けてしまい、大きな轟音と共に数メートル程吹っ飛んでしまう。 その様子を見てEM-05は笑っている。先ほどの雰囲気とは全く異なる猟奇的な笑みを浮かべている。その姿は獣か、それとも悪魔か。 ゆっくりと起き上がるウイルスに対し、EM-05はもう一方の手も筒状に変化させ、両方の筒をウイルスに向けた。 「むしゴトキガへいきヲはかいシヨウナンテ……ムボウニモホドガアル!!」 ――そこから先は一方的な戦闘と化した。 両手からのミサイルの連射、人工コピー能力による袋叩き、人を超越している身体能力、それらを駆使して戦う兵器EM-05に対し、ウイルスは手も足も出ない。 それは当然だ。あくまでもウイルスは破壊が目的であり、戦闘用ではない。一方でEM-05は完全なる戦闘用兵器であり、現在ZeOによってウイルス対策ソフトを一時的に入れられている状態。 ……この戦いの結果等、いうまでも無いだろう。 それを証明するかのように、EM-05が最後のミサイルをウイルスに叩き込んだ。 ウイルスは砂となって消えていき、その砂もまた瞬きしている間には一つ残らず消滅した。 EM-05による完全勝利だ。 ■ □ ■ EM-05が気がつくとそこは自分の回路内では無かった。 フリーズして動けなくなった最初の場所、つまり街中の物陰に自分は立っていた。 「え? えぇ……?」 一体何がどうなってるんだと思い、EM-05が周りを見渡そうとしたら真横にZeOが立っていた。 「うわぁ!?」 あまりの唐突さに思わず声を上げるEM-05。ZeOはEM-05のあまりな反応に顔をしかめる。 「うわぁって僕はお化けじゃないんだけど? まっ、それは置いといてだ。ウイルス退治お疲れ様」 「え? えーと……なにがどうなってるの?」 勝手に話を進めるZeOに対し、EM-05は状況についていけず困惑するしか出来ない。 その様子を見たZeOは意味が分からず体を傾げるが、すぐに気づいて説明する。 「あ、そっか。言ってなかったっけ。ウイルス全消去したら自動的に意識を戻すようにプログラムしていたの」 「きいてないよ!」 すぐさま裏手ツッコミを入れたEM-05。ふとここで自分よりも先に反応する筈のアルケーがいない事に気づく。 「アルケーは?」 「僕の内部にいるよ。アルケーは僕と違って実体化出来ないからね。早々にネットワークに繋いで、お家に戻すとするよ」 それを聞いてEM-05は驚きを通り越して、感心してしまった。 アルケーから電子世界最強のカービィとは聞いていたが、別のプログラムを保ったまま内部に入れるなんて普通は出来ない芸当をたやすくやってのけるとは思っていなかった。 感心するEM-05を他所に、ZeOは元来た道を戻ろうと背を向ける。 「それじゃ僕は失礼するね。さすがに戻らないと怒られるから」 そのまま帰ろうとしていくZeOに対し、EM-05を咄嗟に止める。 「あ、まって!」 「ん?」 振り返るZeOに対し、EM-05はお礼と疑問を言った。 「ありがとう! でも、なんでボクをたすけたの?」 二つの言葉を受け止めたZeOはニッコリ笑って答えた。 「困っている人を助けるのは機械も兵器も一緒なだけだよ」 短編②「街の物陰にて」おしまい。 希望者電蝶さん 出演オリカビ お題№6「ZeO」 奇跡№5「EM-05」 奇跡№16「アルケー」 ============================================================================================== ・グロ注意。 三日月が夜空に浮かぶ。 沢山のカービィで賑わう街は皆寝ちゃって静まりかえっている。 それはこの大きな街を囲む門の中でも同じ事。 ただし住民と違うのは、門番達が真っ赤に染まって倒れていること。それぞれ体が一部欠けていて、動かないこと。 そして、裂けた口から見える鋭い歯を真っ赤に染めた紅色のカービィがその中心で立っている事。 「……ったく、門番ってのは誰もいれねぇのが仕事じゃねぇだろ」 紅色のカービィは動かない門番を蹴って隅に寄せながら言う。 だけども、門番には聞こえない。そりゃそうだ。このカービィが体の一部を食っちゃって、死んじゃったんだから。 紅色のカービィはそれを分かっていて、言っている。何故かって? さぁ、何故でしょう。 門番達を邪魔にならない位置に全てどけると、紅色のカービィは街に入ろうと歩き出す。 その時、横から男の声が入ってきました。 「ありがとー。開けてくれて。そいつら、通してくんないから困ってたんだー」 血で染まった門には不釣合いな明るい声。 紅色のカービィが黙って振り向くと、そこにいたのは奇怪なカービィ。 大きすぎるシルクハット、ツギハギの顔、不気味さを誇張させるのは水色のマントと左目を包む布飾り。 見た目だけでも十分奇怪だというのに、どっからどう見ても殺人現場でも平然としているその姿はまさに狂っているとしか言えない。 紅色のカービィは奇怪なカービィを見て、すぐに笑みを深くした。 「どういたしまして。狂った人形屋」 「あれ? 僕さまのこと知ってるんだ、意外」 「あぁ。人形をずたずたに引き裂いて遊ぶローレン、イコール狂った人形屋ってね」 狂った人形屋ローレンは紅色のカービィにそう言われ、つられるように笑う。だけどもその目は空っぽで奈落のよう。 ローレンは何を映しているのか分からない右目で紅色のカービィを見ながらこう言った。 「勘違いしてるね、レヴィおじさん。そりゃ人形を引き裂くのは大好きだよ? でもね、人を引き裂くのも大好きなんだよ?」 ガキィィン! 直後、金属同士がぶつかり合う音が響く。 レヴィはどこからともなく金色の剣、ローレンもまたどこからともなく大きな鋏を互いにぶつけていた。反応速度は共に互角。 二人は狂った笑みを浮かべ、同時に笑い声を上げた。 「けひゃ、けひゃひゃひゃひゃきっひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 「いひ、いひひひひひいいひいひひいひひひひひ!!」 おんなじだ! こいつはおんなじだ! こいつと自分はおんなじだ! 狂ってる! 狂っていやがる! 心の底から狂っていやがる!! だったらやる事は一個しかねぇ!! レヴィとローレンは互いに距離をとり、自分の獲物を構え、相手に向かって挑発する。 「けひゃひゃひゃひゃひゃ!! 人喰いレヴィがテメェを食ってやるぜ、ローレン!」 「いひ、いいひひひひ!! お前如きが僕さまを食えると思ってるのおおおお!?」 レヴィは勢い良く剣を振るい、先端から<ソードビーム>を繰り出す。 ソードビームは雷のように素早く一直線にローレンへと飛んでいく。ローレンは素早く鋏を前に出し、ソードビームを防ぐ。 ローレンがソードビームを防いだ時、すぐさまレヴィは距離を縮めてローレン目掛けて突きを入れる。 再び大きな金属音が響く。 だけども狂った二人にとってはそんなのどうでもいい。 「良くかわした、良く防いだ! そうじゃなきゃつまんねぇもんなあああああ!!!??」 叫びながら、強く強く剣を押してくるレヴィ。ローレンは踏ん張るものの押されていく。 それはやばいとローレンはすぐさま鋏の角度を変えてレヴィの剣の軌道を逸らして、素早く距離を取る。 レヴィがローレンに体を向けるよりも早く、ローレンは一気に近づいて鋏を横一文字に振るう。レヴィは鋏を避ける間も無く、直撃してしまう。 勢い良くレヴィの体は横に吹っ飛び、己が作った死体達と大きな音を立ててぶつかってしまう。 「いひひひひひひ! どう? どうどうどう!? 僕さまの鋏、凄いでしょ凄いでしょ!?」 ローレンは狂った笑い声を上げる。 一方で死体につっこんだレヴィはすぐさま立ち上がる。その手に剣は無い。恐らく先ほどの衝撃で消えてしまったのだろう。 ここでローレンはレヴィがコピー能力使いだと理解する。 だけどもそんなのお構いなし。ローレンは目の前の獲物が立ち上がるのを見つめてる。 「けひゃひゃひゃ! あぁ、凄い。すげぇなぁ、人形屋!!」 レヴィも立ち上がりながら笑う。 その手に持つのは血で真っ赤に染まったライターだ。門番の一人が持っていたのか、それともレヴィの所持品なのかは分からない。 分かるのは、それがレヴィの次の武器だということ。レヴィはライターを口の中に入れて、すぐさま飲み込んだ。 するとレヴィの体を真っ赤な炎が包む。 ローレンは驚く事無く、さっきよりかは落ち着いて、でも狂った笑みは忘れずに言う。 「へぇ? それがお前のコピー? 帽子無しなんだぁ」 「俺が帽子ありだったら気色悪いだろぉ? あまりのギャップによぉ!!」 レヴィが言った次の瞬間、彼の口から炎が吹いた! ローレンはすぐさま左にジャンプして炎を避け、鋏を持ち直す。レヴィは相手に攻撃する隙も与えず、絶えず炎を吹いていく。 素早くマントで身を包み、ローレンは炎をガードする。レヴィはそれを見て、思わず口笛を吹く。 「ひゅー♪ なるほど、それなりに防衛能力のあるマントってわけ」 「そりゃ人形で遊んで、自分が傷ついたら元も子も無いもん!」 そう言うローレンは無邪気な子供そのもの。 炎が消えるのを見計らい、ローレンは持っている鋏を握り締める。すると鋏の形が徐々に変わっていき、巨大な釘となる。 「壁に刺してボッロボロにしてやんよ!」 そう言ってレヴィへと走り出そうとした時だった。 突如横から二人目掛けてトランプが嵐の如く飛んできたのは。 いきなり飛んできたトランプに二人は驚くものの、ローレンは釘を器用に使って叩き落し、レヴィは炎を吐いて燃やす。 トランプは地面に落ちたり、燃やされたりして、飛ばなくなっていく。 その時に新たな狂った声が聞こえてきた。 「殺し合いかぁ? 殺し合いなら、俺も混ぜろや。あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!」 門の入り口から、ひたひたと不気味な足音を立てながらやってくるのは道化だった。 赤と灰色の水玉模様が特徴である二股帽子とマント、何を見てるのかさっぱり分からない真っ白な瞳、そこにいるけれども不安定な存在感を見せ付ける奇妙な道化。 レヴィとローレンはそいつを知っていた。 自分達同様指名手配されていて、尚且つ狂っている奴だってことを! 「トランプ使いのジョーカーか。こいつまで出てくるとはなぁ……!」 「いひひひいひひひひ! いーじゃん、おもしろいじゃん! 楽しくなりそうじゃん!!」 体の芯から燃え上がる。 同じ野郎どもが三人も集まって、興奮を覚える! こうなったらやる事はさっきとおんなじだ。 ――狂った三人での殺し合いだ!! レヴィはとびっきり大きな炎を吹き、ローレンは大きな釘を光り輝かせて無数の針にして撃って、ジョーカーは再びトランプをカッターのように高速で飛ばす。 トランプと針は互いに打ち落としていき、炎が落ちていくトランプと針を燃やす。 ローレンは針が無くなったのと同時に今度は不気味な光と共に巨大な鎌を出現させ、至近距離にいるレヴィ目掛けて飛び掛る。 だけどもジョーカーがその隙を逃さず、トランプの内二枚を空中に浮かせると絵から光線を発射した。ローレンはそれを避けきれず、左頬と左足に光線が直撃してバランスを崩して地面に激突する。 ジョーカーはそれを見て嘲笑う。 「油断大敵だよーん!」 言った直後、レヴィがジョーカーへと駆け寄り、至近距離から火炎を吹いた。 もちろんジョーカーに避ける間も無く、見事に直撃した。 「あっちゃああああああああああ!!!!」 悲鳴を上げるジョーカー。 レヴィは悲鳴を無視し、燃えるジョーカーの頭をつかむと思い切り地面に叩き付けた。 地面にたたきつけられ、ジョーカーは小さな悲鳴を上げる。そのすぐ直後に炎の勢いが増して、ジョーカーの体を包み込む。 「うぎゅっ!! あ、ああああああああああああああああああああああああ!!!!」 ジョーカーの悲鳴を聞き、レヴィは笑みを深める。しかしトドメを刺さず、もう一人の方に体を向ける。 そこには巨大鎌を上から勢い良く振り下ろすローレンの姿があった。 レヴィは咄嗟に横に避け、鎌をギリギリ避ける。 「げっ!?」 鎌は地面に思い切り刺さってしまい、ローレンは焦る。大慌てで抜こうとするものの、それを見逃す二人ではない。 「馬鹿でかい武器なんか使うからそんな事になんだよ!! けひゃひゃひゃひゃひゃ!!」 レヴィが笑い声を上げながら炎をローレン目掛けて放射する。 ローレンは飛んできた炎を避ける為、やむなく鎌を手放してギリギリの位置で避ける。しかし次の瞬間、その背に炎が宿った小さく鋭い何かが背中に刺さる。 「ひぎゃ!!」 ローレンは小さな悲鳴をあげ、倒れそうになりながらも踏ん張り、背中に刺さった何かに手を回して引っこ抜く。その際に傷が広がり、血が流れ出て顔を苦痛にゆがませる。 刺さっていた何かは炎を宿したトランプだった。 ローレンがジョーカーに振り向くと、ジョーカーは立ち上がっていた。その身に炎を宿したまま。 「あひゃ、あひゃひゃひゃひゃひゃ! お前等、能力持ちのカービィが炎程度で死ぬと思ってたのかあああ!?」 そう叫んでいるものの、体はブルブルと震えており、立っているのもやっとの状態だ。ところどころ火傷が見えるところからして、ダメージが大きいのが良く分かる。 しかしジョーカーはそんな素振りを一切見せないつもりか、炎が宿ったトランプをレヴィとローレン目掛けて投げる。 レヴィとローレンはトランプが当たる前に体をそらして避ける。 トランプは二人の横をそのまま飛んでいた。かと思いきや、ブーメランのようにカーブして二人の背後目掛けてスピードを上げて飛んでいく。 ローレンはすかさずマントで体を包んで防御し、炎のトランプを防ぐ。 レヴィは小さな火炎玉をトランプ目掛けて口から次々に発射していく。だがトランプは炎などもろともせず、次々とレヴィの体に突き刺さっていく。 トランプを真正面から受けたレヴィは背中から倒れる。同時にレヴィを包む炎が消える。ダメージに耐え切れず、コピー能力が消えたのだ。 同じくジョーカーを苦しめていた炎も消えた。どうやら炎はレヴィとリンクしていたようだ。 「あひゃ」 「けひゃ」 「いひひ」 狂人達はそのままの体制で小さな笑い声を出す。 レヴィは全身に刺さったトランプを両手で抜いて、真っ赤な体をさらに真っ赤に染めながら。 ローレンは左頬に焦げた跡、左手には焦げた跡に深い切り傷をつけたまま。 ジョーカーは帽子とマントが黒く焦げていて、全身をうっすらと火傷していて。 だけども、彼等は笑っていた。狂気の笑みを浮かべていた! 「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃあひゃああひゃはやひゃひゃひゃ!!」 「けひゃひゃひゃけけひゃひゃひゃひゃひゃけけけひゃひゃひゃけひゅはけひゃけひゃけひゃひゃひゃああ!!」 「いひひひひひいひいひひひひいひいひいっひひひひいいいひっひひいひひひひいひひひいいいひひひひひひ!!」 あぁ、なんと楽しい! 何て楽しいんだろう! こいつもあいつもそいつも狂っている! 狂っている奴らの殺し合い! 楽しいと思わない奴がどこにいる!? 三人共に戦闘態勢を取り直し、再び刃を向けようとしたその時だった。 邪魔が入ってきたのは。 「いたぞ! 三人共に指名手配犯だ!!」 ライトを持った複数のカービィが三人へと駆け寄り、すぐさま包囲する。 リーダー格と思われるカービィが剣を向け、高らかに叫ぶ。 「人喰いレヴィ、狂った人形屋ローレン、トランプ使いのジョーカー! お前等を連行する!! 尚、生死問わず!!」 『イエッサー!!』 部下のカービィ達がそれぞれ武器を構える。 三人は入ってきた邪魔を心底うっとうしそうな目で見る。だがこのダメージではこの人数相手に戦闘するのはややきつい。 なら、やる事は一個だけだった。 次の瞬間、ジョーカーがトランプの吹雪を起こしてカービィ達の視界を遮る。 その隙にローレンはマントを使って空を飛ぶとそのまま猛スピードで街中へと飛んでいき、レヴィは外につながる方向にいたカービィに突進して食いちぎって強引に出口を作り、そのまま逃げ出す。ジョーカーもレヴィの作った出口に向かって共に逃げ出した。 トランプの吹雪が止む頃には、三人の狂った者はいなくなっていた。 短編③「狂気の三人」おしまい。 希望者雨鴉さん 出演オリカビ 奇跡№4「ジョーカー」 奇跡№19「ローレン」 奇跡56「レヴィ」 ================================================================================================